ランチェスター経営戦略 ランチェスター経営株式会社


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「ランチェスター法則」の弱者と強者とは

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「弱者と強者」という、衝撃的な言葉の産みの親は、
翻訳者の中原勲平氏?

戦後、ランチェスター法則の研究者が続々と本を出版

                        




 強者と弱者を正しく使い分ける、それを経営の立場でみるとき、市場占有率で判断します。


市場占有率

 まず1番目は26%で、これは強者として経営ができる最低条件です。

 2番目は42%です。1位がこれだけの占有率を押さえると、実質上「市場の半分」を押さえたのと同じになるので、この段階を「相対的な独占値」と呼びます。

 3番目は、74%です。1位がこれだけの占有率を押さえると2位も含め、これ以下の会社では黒字を出すのが難しくなるので、実質上市場の全部を押さえたのと同じになります。

 この3つが、市場占有率の中で最も重要なものになります。




また、ここでは「弱者と強者」の語源について説明します。
翻訳者・中原勲平が初めて使った「弱者と強者」の語句



ランチェスター法則の研究で1番古い人は、この本の翻訳作業にも関係した、中原勲平(くんぺい)氏です。弱者と強者という刺激的な表現最初にしたのは、どうやら中原氏のようです。

 2番目に古い人は、加藤勝康氏です。加藤氏は1959年(昭和34年)10月に出版された「経営学全集」の369頁のところでオペレーションズ・リサーチの方法を紹介するとともに、ランチェスターの法則を簡単に説明しています。加藤氏は当時、近江製菓の専務をしていた人です。

 3番目に古い人は、奥村正二氏です。奥村氏は特許事務所を経営していた人で、1960年(昭和35年)12月16日、「企業間競争と技術」(東洋経済新報社)という本の中で、弱者の戦略の必要性について言及しています。

 4番目に古い人は、林周二氏です。林氏は後に東京大学の教授になった人で、1961年(昭和36年)1月15日、奥村氏より1カ月遅れて「日本企業とマーケティング」の本を出版し、その中でかなり詳しくランチェスターの法則について説明しています。林氏も「競争条件が有利な会社と競争条件が不利な会社とでは経営のやり方を変えるべきだ」と結論付けています。

 5番目に古い人は、池田一貞氏です。池田氏は九州工芸大学の教授をしていた人で、1965年(昭和40年)8月1日に出版された「現代マスコミ統計調査論」の中で、ランチェスターの法則について説明しています。

 内容は化粧品メーカーを事例に、メーカーの経営力はその会社の商品を専門に売ってくれる「系列小売店の数の2乗に比例する」はずであるから、業績を良くするには販売店を多く作るようにすべきだ」、と結論付けています。当時は、現在のマツモトキヨシのように多店舗を展開している大手のチェーン店はなく、取引する小型小売店舗が市場占有率の7割〜8割を占めていたという事情がありました。

 6番目に古い人は斧田大公望氏です。斧田氏は1969年(昭和44年)3月6日、日本経済新聞に、1962年の夏から1年をかけて田岡氏と共同で導き出した「市場占有率の3大数値」を説明するとともに、市場占有率の重要性について説明しています。この3大数値はアメリカのマーケティングコンサルタントも気付かなかった、日本独自のものです。

 その中に参考資料として普通車の占有率を紹介しています。それによると、トヨタの市場占有率は24.5%、日産は21.6%、本田技研は8.6%になっています。現在トヨタと日産の差は2倍以上になっているのですが、当時はかなり接近していたのです。

 斧田氏は1980年(昭和55年)1月20日、「競争に勝つ科学」の題名で、開発社から出版しています。この本には市場占有率の3大数値を導き出した考え方や、計算の手順が詳しく説明されています。

 7番目に古い人は、宮川公男氏です。宮川氏は一橋大学の教授をしていた人で、1969年(昭和44年)9月26日に、「OR入門」という題名で日本経済新聞社から出版し、5万冊以上売れているようです。

 この中の19頁から10頁にわたって、ランチェスターの法則がORにどのように応用されていたかを紹介しています。

 8番目に古い人は、田岡信夫氏です。田岡氏は1971年(昭和46年)11月25日にビジネス社から「競争市場の販売予測」の中の第7章、占拠率の管理とその戦略の中で、ランチェスター法則と斧田大公望氏と共同で考え出した市場占有率の3大数値を詳しく説明しています。この本は内容が専門的であったことからあまり売れず、この時点ではランチェスター戦略の「ブーム」はまだ起きていませんでした。


田岡氏の「ランチェスター戦略入門」をキッカケに、第2次ブームに


 田岡氏は、1972年(昭和47年)12月1日、ビジネス社からランチェスター戦略入門の題名で出版しました。この本はランチェスター戦略を中心に説明していることと、5冊シリーズで出版されたこともあって大ベストセラーになり、ランチェスター戦略の第2次のブームが起きました。

 田岡氏には講演の依頼が多くなり、とても忙しくなっていました。田岡氏は1984年11月に亡くなったのですが、生前、ランチェスター戦略について20冊ぐらい出版されているようです。

 9番目に古い人は、市原樟夫(いちはらくすお)氏です。市原氏は高知県の中小企業指導所に勤務中に、田岡信夫先生の本を読み市場占有率について知ったそうです。そのあと田岡先生と斧田先生が考え出した市場占有率の3大数値を応用し、54.6%、30.8%、19.3%、15.1%、10.9%、6.8%、2.8%の中間的及び段階的な目標数値を、1974年(昭和49年)の初めに同指導所の中小企業研究の「特別号」で発表しています。そして19.3%を上位シェア、10.9%を影響シェア、6.8%を存在シェア、2.8%を拠点シェアという呼び方をしています。これ以外では1980年(昭和55年)7月に「大型店対応作戦」、市原式50の実践チャートを、ビジネス教育出版社から出した本の中にこの説明があります。1994年12月に同文館から出版した「融合化マーケティング」の本の35頁にもこの数値の紹介があります。

10番目に古い人は、船井幸雄氏です。船井氏は1977年、昭和52130日にビジネス社から出版した「船井流競争法」の中の20頁のところで、次のような記事を書いています。

『ところでORの元祖は、英国人のフレデリック・ウイリアム・ランチェスター〔Frederik William Lanchester1868-1946年)であり、彼は兵力の割合と損害量との相関関係について、種々の法則を発見している。特に彼の主著であるAircraft in WAR for 1916 の中で展開したのが、有名なランチェスターの公理である。

ランチェスターの公理についての、日本での研究家は、経営統計研究会の田岡信夫氏である。彼の著書「ランチェスター戦略入門」等が、いまビジネス社等から出版されているので、できれば一読をおすすめしたい。

ところでこのランチェスターは、3つのおもしろい数字をあげている。

その1つは、41.7%という数字であり、これは複数競合における当面の第一次目標といっている。2つ目は73.88%で、独占の条件数値だといっている。そして3つ目は、26.12%で、いわゆるこの数値は下限目標であるといっているのである。

私は、ランチェスターの公理を実際に使い出してから今年で約15年になるが、その間に、彼(ランチェスター)のこの数値を、少し加工すると非常におもしろい意味をもっていることに気づいた。

彼(ランチェスター)のこの数字に、私の経験、特に心理的効果を加味して作りあげたのが、私がいま活用しているシェア原則である。図表−2は、私の作成したシェア原則であるが、私はいま、これを「目標設定の重要ポイント」として利用し、あらゆる業種、業態を問わす大きな成果をあげている。

次にこの表を説明してみよう。

 @独占シェア    74

 A相対シェア    42

 Bトップシェア   26

 C影響シェア    11

 D存在シェア    7%

解説。この文章では、田岡先生と斧田先生が考え出した市場占有率はランチェスターが考え出したようになっていますが、こういう事実は全くありません。これは国会図書館にある、ランチェスター法則の原文を確かめてみればはっきりします。

 さらに「私はランチェスターの公理を実際に使いながら15になる」と説明していますが、実際は田岡先生が出版したランチェスター戦略の入門で市場占有率の3大数値を知ったのははっきりしており、実際は2年しかたっていません。そればかりか市原氏が考え出したという、19%、11%、7%の3つも、いつの間にか船井理論になっているようです。


 11番目に古いのが、ランチェスター経営(株)の竹田陽一です。竹田陽一は、1983年(昭和58年)7月にランチェスター法則を仕事時間に応用した「利益時間戦略」を産能大出版から出版、続いて1986年(昭和61年)6月3日、「ランチェスター・弱者の戦略」の題名でビジネス社から出版しました。この本はサンマークの文庫本「ランチェスター弱者必勝の戦略」にもなったことで合計11万冊売れています。同時にこれまで4,300回の講演をしたので、講演を聞いてくれた人が全国にいます。


 後発業者が生き残るには「差別化」が必要で、そのためにランチェスター先生の墓参りに行き、法則の原書とランチェスター先生の生涯をまとめた伝記の本を入手して翻訳してもらったことは、とても役立ちました。
 2015年(平成27年)8月、念願の英文ランチェスター戦略をフォレスト出版から出版し、これを持ってランチェスター先生の7回目の墓参りができました。


 12番目に古い人は、佐藤總夫(早稲田大学教授)です。佐藤氏は198411月に「自然の数理と社会の数理、微分方程式で解析する」の題名で、日本評論社から出版しています。この本には5章、10章、11章で、ランチェスター法則と市場占有率について説明しています。しかし内容のほとんどが田岡先生の本からヒントを得ており、経営をする社長に役立つところは少なくなっています。



 13番目に古い人は、矢野新一氏です。矢野氏は田岡信夫氏の会社に勤めてインストラクターをしていた人で、1986年(昭和61年)3月5日、「ランチェスター地域No.1戦略」の題名でビジネス社から出版しています。その後マンガによるランチェスター戦略の本を出版したことで、若い年代層にランチェスター戦略が知られるきっかけを作りました。矢野氏は講演も意欲的にしていることから、矢野氏の講演を聞いた人は多くいるはずです。



 ランチェスター戦略について独占的占有率を持っていた田岡信夫氏でしたが、1984年11月に亡くなられました。その後ランチェスター戦略の本を書いたり講演をする人が一気に増えました。

14番目に古い人は、武岡淳彦氏です。武岡氏は1922年生まれで、兵法コンサルタントをしていた人です。武岡氏は1989年、昭和6410月に出版した、弱者の戦略・強者の戦略の147頁に次のような文章を書いています。

『イギリスの技術者であったランチェスター(18681946)は、自動車用エンジンに数多くの発明を行なうとともに、航空学においてもその黎明期に大きな貢献をなした。彼は技術分野だけでなく、運用面についてもすぐれた見識をもち、イギリス政府は彼の提言を受け入れて、世界各国にさきがけて空軍省を創設したのである。中略。

つまり彼は実際の戦闘において、飛行機が何機と何機で戦ったら、どちらが何機撃墜されるかを、科学者らしい精緻なデータの収集分析によって探究し、そのうえに海上戦闘および陸上戦闘の資料を研究して、ランチェスターの法則と呼ばれる二つの法則を発見したのである。中略。

彼(ランチェスター)は、空中戦の研究をしていてこの法則を発見した。それは彼自身が「兵力の割合と損害量の割合の間に存在する因果関係」の解明と、テーマを絞って研究した結果得られた結論に違いないが、運もあった。

彼らが作った飛行機は、主翼が二枚ある複葉機で、鈍速なうえに、パイロットも全員が初めて搭乗するため技量差がなかったので、その時期に行なわれた空中戦は、彼の研究テーマの対象とするのにもってこいの資料になったからだ。

そのうえ、彼が空中戦だけに満足せず、海上戦闘および陸上戦闘に研究範囲を広げた視野の広さもよかった。海上戦闘は基本的に空中戦に似たところがある。遮るものがなにもないからだ。以下省略

解説。「空中戦の損害量を研究しているうちに法則を発見した」というのは、大きな誤りです。さらに「彼らが作った飛行機」との説明があるが、ランチェスター先生自身、飛行機は作っていません。これはランチェスター先生の伝記の本を読めばはっきり分かります。

 以上、1990年以前に本を出版し、その中に「ランチェスター法則」について書かれているものを紹介しました。ここで紹介した人以外に、何人もいるはずです。もし読者の中でその人が分かったら、知らせて頂くと幸いです。



最後になりますが・・・・・


 戦後の日本で、いろいろな方が「ランチェスター法則」について本を出版してきました。それにしても、私は11番目。後発もいいところですね。 私は素質は低い上に文章も全くダメですが、これまでランチェスター法則について何冊もの本が書けたのは、1985年12月にランチェスター先生の墓参りに行き、次の年に英文の原書を手に入れるとともに、オペレイションズ・リサーチの翻訳本を手に入れ、これを確かめることができたからだと思っています。
 今後もランチェスターの法則を応用して本を出版する人が何人も出てくると思いますが、最も大事なところは原書で確かめるばかりか、基本となる大事な考え方や文章を転載するときは本人の許可をとるようにすべきでしょう。

 ランチェスター先生は、1946年3月8日、77歳で亡くなられました。私は、昭和30年代に出版された経営の「古本」を買っては、ランチェスター法則の記事を書いた人がいないか調査をしてきまた。このページの記事はそれをもとにまとめています。
 もし読者の皆さんの中に、ここに書いてあるよりも、ランチェスター戦略について書いた「古い人」を見つけた方は、ぜひランチェスター経営(株)までご連絡下さい。
     

                
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                               ランチェスター経営 竹田陽一



    (このサイトの文章は、2016年12月に一部を書き加えています。担当:中島)
                               





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